ワセリン日記

日常の掃き溜め

ブラックボックス展とは何だったのか

展示終了から一晩明けてあらかた言われ尽くされてはいるけれど、まあそれはそれとしてだ。

自分の”目”で確認しに行ったからこそ、僕は僕で筆の力を借りてあれはなんだったのか考える必要があるなあと思った。

 

鑑賞前のサザエbotの中の人に対する認識は

程度であり、なぜ賞をもらったのか正直よく分かんねーなあ、というまま今日の今日まですっかり忘れていたところだ。であるからして「中の人が本当にアーティストなのかどうか確認すっぞ」というつもりで長蛇の列に向かった。だから信者ではないが、まあでもアルスエレクトロニカだもんなーと、ある程度の信用は持っていた。

僕が見に行ったのは6月16日「アルテマレベル」で、どうやら他の日と細部で内容が違うらしい。

 

展示内容

”用意された”展示は

  • ”鑑賞者の選別”を行う黒人
  • 口外禁止の誓約書
  • 1000円の入場料
  • スマホのカメラとライトを塞ぐ撮影禁止用シール
  • 何もない暗闇の部屋
  • 部屋から出たときに自分の顔が見える位置に鏡を設置

これで全てである。

インターネットによると、嘘の感想ツイートを許可するという紙を貰った人がいるらしい。おそらく、

  • 初期鑑賞者が嘘含めセンセーショナルに情報を撒き散らす
  • それに釣られた人たちが長蛇の列を作り出し大盛況のうちに終了

というのが今回のあらましだろうか? 

(※追記)僕がこの紙を貰う場所を見落とした可能性がある。だとしたら僕もネタバレ解禁時までこれが何だったのか真相には辿り着けない側じゃない? いやでもたしかに見当たらなかったから余計悔しい

情報不足でよく分かってなかったとはいえ鑑賞後煽動するような言動をしてしまってすいませんでした。うーん悔しい

 

展示の趣旨はなにか

この”用意された”展示物が示す構造はいたってシンプルで

  • 撮影禁止用シールで鑑賞対象が部屋の中にあることを暗示
  • 暗闇の中は何もない、ならばつまり暗闇にいる我々が鑑賞対象
  • 出口の鏡がそれを裏付ける?

だと思う。ブラックボックスの中身が気になって見に来たら実は中身など何もなくて、自分たちが鑑賞対象だったんだよ!ってことだ。また

からインターネットの話題を掻っ攫ったのはそれ自体が目的だったとも言えそうだ。

 

これらを合わせると、「展示内容に振り回される人全員」が鑑賞対象であり、暗闇に入れた人のみがその真実を知ることが出来る展示だったということになる。

 

展示の初期バージョンで暗闇に入った人たちは、鑑賞者=鑑賞対象だったことを知った。彼らは「ブラックボックス展の中身」という究極の虚構を、自分自身が鑑賞対象としてセンセーショナルに発信し、中の人と共にその他大勢が翻弄する構図を作り出す。(公式情報のみのピュアッピュアな虚構に振り回された人たちである。)

それ以降釣られて僕含む暗闇に入った人たちは展示期間中に真実を知って、あと1000円とられた。追い返された人・行かなかった人はこの究極の虚構にネタバレ解禁時まで振り回され続けることになってしまった。

だからこの虚構の中身に振り回された全員が、つまりは鑑賞するために並んだ時点で、さらには気になって情報を追っている時点で鑑賞対象の一部なのだと思う。

 

一言で趣旨を言うなら

  • メタ鑑賞の視点に立つことのできる壮大な虚構を作った

みたいなところ?

(こういう結論に至ってしまいましたが、優しいご指摘お待ちしております

 

 

 

アートか?

  • これだけの規模の人数を動かせる、これをやりかねないと思わせる、サザエbotの中の人の唯一性
  • みんな情報に振り回されるよね
  • みんなブラックボックス展の中の人だった
  • 僕は4分33秒みたいなメタ鑑賞的な考え方は結構すき

 やられたな~って思ってしまった。

(※追記)ちょっと僕自身のゆるりとしたアートの定義が自信なくなった。結局これはアートなのか、アートでないならどこが違うのか、ご意見お待ちしております

(※追記)この疑問に対してBanksyのドキュメンタリー映画"Exit Through the Gift Shop"は大変刺激的なヒントになったので未鑑賞の方はぜひに。自信を持っておすすめできる

映画『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』予告編 - YouTube

 

痴漢問題は管理体制とかそういう問題なので触れないでおきます。ご愁傷様です...

あの 最後に一応個人の感想なのでっていう予防線を一本引いておきますね!!

すいません

 

余談

アート(特にメディアアートとか)はその作者をアーティストだと信用してこそ、それがアートだと信じて考えることができるみたいなところがある?